甘い唇は何を囁くか
どうやったって、日本語以外の言葉を完璧にマスターするなんて無理すぎる。

って、はなから分かっていたから、持ってきたスマホには翻訳アプリをインストールしてきたし、お母さんが持ってた古めかしい電子辞書も持って来た。

何とかなるなるなんてあま〜い考え方かなぁと思いつつ、降り立った異国の土地は、もう空港からして日本とはまるきり違うくて、遼子は高揚している感を隠しきれないでいた。

どうやらシーズンオフらしく、周囲にいるのは外人ばかりだ。

どーしよー!!
日本人のガイドくらいやっぱり雇った方が良いのかなぁ…。

この旅行のために新調した真っ赤なトランクを引きつつ、空港の中を見回してみる。

ボキャブラリーが貧困な自分には、外人がいっぱいだーということくらいしか出て来ないが、あー何か、ついに来たんだわと思わずワクワクしてしまう。

んー

パンフレットには陽気な太陽の国なんて書いてるけど、建物の中なのにやっぱりちょっと寒いかな…?

もう11月だもんね。
日本も肌寒いくらいになってるし?

住み慣れた神戸を思い浮かべながら、遼子はとりあえずと一人うなづいた。

ホテルに行ってチェックインして、それからどこに行くか決めよう!
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