甘い唇は何を囁くか
シャワーを止めて、遼子は自分の身体を見つめた。

シスカの香り、シスカの手・・・まだその感触が残ってる。

涙を堪えて、唇を引き結んでも

これから逃れる事のできない運命を前に、身体は否応なしに震えてくる。

宗眞と・・・する。

そんなの全然、平気。

なんでもない。

思い込もうとしたって、全然無理だ。

むしろ、いっそ知らない相手としろって言われた方がマシだったのかもしれない。

ヴァンパイアになった後、宗眞のことを忘れられるっていうことが、唯一の救いだ。

ぐっと拳を握り締めて、遼子はバスルームを出た。

濡れた身体を拭いて、しっかりと衣服に身を包む。

それから、鏡を睨んで言い聞かせた。


シスカのもとに戻る

そのための


これはーーーーー儀式だーーーーー
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