甘美な蜜のプワゾン
☆four★
朝の食卓に並ぶ、味噌汁、玉子焼き、鮭の塩焼き。

朝が弱い蘭でも、味噌汁のだしの香りや魚の香ばしい匂いを嗅ぐと、一気に眠気も飛び食欲が湧いてくる。

「はぁ……目覚めの味噌汁、サイコー」

「フフ、蘭は本当、和食が好きよね」

「うん! お母さんのだし巻き玉子なんて最高じゃん」

「ありがと」

学校が遠い為、蘭の朝は早い。

リリと2人食卓を囲み、リビングの壁に設置された100インチの巨大なテレビスクリーンからは、朝の情報番組が流れている。

「ただいま……」

「おかえりー」

「お帰りなさい。朝までお疲れ様」

眠そうな顔で帰宅してきた次兄の稟は、欠伸をしながら、リビングのソファへと崩れ落ちるように沈む。

「稟、ご飯は?」

「まだいらない」

「そう。じゃあ、食べたくなったら言って」

「うん。ありがと」

リリと稟のやり取りを聞きながら、蘭はテレビから流れるCMに釘付けになっていた。

「この女優さん本当綺麗だよね……」

蘭の呟きに稟はテレビに視線を遣った。

「あぁ……。美神 理緒(みかみりお)だろ?」

「うん、そう! 確か40代半ばだったよね? 年齢を感じさせない程の、神がかった美しさって言うのか。名前通りって言うのか……」

うっとりとする蘭に、リリも「本当綺麗よね」と溜め息はつく。

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