MOONLIGHT【番外編~ウエディング、新婚旅行!?編】

★神田一矢のため息




はあ。

やっぱ、俺は仲良し先輩どまりか…。

一度フラれた城田レイにリベンジしようかと思ったが、あっさり2度目も気持が届かなかった。

前に一度、城田に聞いたことがある。


「何で、俺じゃお前の恋人になれねーんだよ?俺だったら、お前泣かせねーけどな?」


城田に長年心に秘めていた気持ちを告ってあっさり振られた後。

城田の彼氏が国家試験に落ちて、うっぷん晴らしかどうかわかんねーけど、バイト先のモデルの女と浮気したとしり落ち込んでいる城田に、思わず聞いた。

城田は即答した。


「神田先輩は私のタイプじゃないです。」


浮気されて落ち込んでいる女が、生意気な事を言った。


「顔だけじゃないだろ。男は。」

「確かに顔だけじゃないですけど。」

「俺たち、気ィあうじゃねーか。」

「気はあいますね、確かに…。」

「じゃあ、何なんだよ?何でダメなんだよっ!?」


段々イライラして、つい声が大きくなってしまった。

城田が俺の大きな声にため息をついた。

そして、俺のまん前にやってきて。


ちゅ。


え?

え??

ええええええええ!?


何故かいきなり城田が俺の唇に触れるキスをしてきたのだった。


はっきり言って腰が抜けた。


スゲー嬉しい。


だけど、次の言葉で、俺はがっくりと突き落とされた。


「やっぱり、ダメだ。」

「え?」

「感じない。」

「何を?」

「だから、神田先輩とのキス。何か…一緒だった、感覚が。」


ちょっと嫌な予感がしたが。

気になったので、きいてみた。


すると。


「なんか、神田先輩とキスしたら、マウストゥマウスみたいになっちゃて。」

「はっ!?」

「うん、キスって感じじゃなかったな…。」


城田のスゲー所は。

こういうところだ。


俺が喜んだ、城田レイとのキスは…どうやら城田にとって。

マウストゥマウスで。

キスとしてカウントされなかったらしい。




きっと、その感覚は、今も同じなんだろうな…。


ってことは、俺が何度告っても。


無駄って事だよな。




はあ。



明日は、城田の結婚式だ。


あの、天下の抱かれたい男とのキスには感じるのか…?



あー、想像したら空しくなってきた!




はあ。







< 11 / 113 >

この作品をシェア

pagetop