MOONLIGHT【番外編~ウエディング、新婚旅行!?編】



「梅晴から聞いたかも知んねーけど。俺、今月で内弟子辞めて、実家戻って政治家めざすんだ。俺んち明治政府から続く政治家の家系で。家業の政治家を継ぐと思っていた弟2人とも、別の道に行くらしくて…。俺が戻ることに決めたんだ。」


菊弥先生と夕真さんの写真を撮って、暫くしたら少し早いが式場へ行っていようと、菊弥先生が言いだした。

お前はあとからでもいいぞと、気をきかせてくれたのか、菊弥先生と夕真さん梅晴は先に部屋を後にした。


俺は、丁度いい機会だと思い、レイさんに話しだした。



親父は多分あと1年くらいしたら党首になる…つまり。

総理大臣ってことだ。

まずは、秘書として一から勉強するんだが。

親父を支えていきたい。

多分、菊弥先生のところでやってきた裏の仕事が役にたつだろう。

菊弥先生はそれをみこして俺を仕込んだようなところもあるし。


そんなことを淡々とレイさんに語った。

レイさんは黙って聞いていた。


だけど、最後に。


「青山さんのところで、芝崎は、本当に楽しかったんだね?だから、人生を迷ってたんだ。」


そんなことを言いだした。


「え?」


まったく、その通りで。

俺は、驚いた。

だけど。


「だけど、親父さんや、弟が好きなんだな。家に戻ることを決めたんだから。まあ、決めたんなら頑張れ!応援してるぞ!」


口から出るのは、あたたかなエール。


レイさんの言葉は不思議だ。

本当に、頑張れる気がしてきた。


やっぱ、お手上げだ。

こんなイイ女、惚れないわけはない。

たとえ、他の男のモノであきらめるしかないっていったって・・・。


だけど、少し甘えてみるか。

ダメもとで。


「応援してくれんなら、ケー番おしえてくれ。」


そう言うと、少し眉間にしわができた。


「何で。」

「俺たち友達だろ。」


一方的だが。


「・・・・。」

「嫌か?」

「友達は、認める。だけど、ケー番教えると、将がうるさそうだし。」

「・・・・・・ちっ。」

「舌打ちすんな。はあ・・・将には内緒だぞ?」


そう言うと、赤外線をしてくれた。


咥えタバコで。


ウエディングドレスの咥えタバコで。



「応援してほしくなったら、電話して来い。」



部屋を出るときに、かけてくれた言葉は。


俺にとって、何よりも元気をもらう言葉だった。


あっぱれな、女だよ。

全く。



「おめでとう、レイさん。」



部屋を出る時俺は振り返ると、ため息をつくようにそう伝えた。







< 29 / 113 >

この作品をシェア

pagetop