MOONLIGHT【番外編~ウエディング、新婚旅行!?編】

②到着(レイサイド)




空港には迎えがでていた。


木村さんによると、ムッシュージレが手配をしてくれたそうだ。



「誰?ムッシュージレって?」



聞いたこともない名前が普通にでてきたので、不思議に思ったから聞いたのに。

将と木村さんが吹き出した。



「何で、笑うの?」



面白いことなんか言ってないのに。



「レイちゃん、ムッシュージレは、打ち上げの時にレイちゃんが応急措置をとって助けたフランス人女性のご主人だよ。レイちゃんとこの学生さんが通訳してた人。」

「あー、あの人か。」



やっと名前と顔が一致した。



「ムッシュージレは、フランスの映画監督で、巨匠と言われる人なんだ。」



将が私の髪をさわりながら、優しい目を向ける。


って、何で将はこんなに甘い空気だしてるの?

ここ、そのジレの手配してくれたリムジンの中だし、向かいには木村さんが座って私達のこと見てるし!



「…でも、何で?そんな偉いさんが私達に車用意してくれたの?」



くっついてくる将を、手で押し返しながら聞いてみた。



「はあ…。レイ、わかってないよな。あのな、ムッシュージレは、奥さんの命を助けてくれたレイにお礼がしたいんだよ。」



でた、またお礼が…。



「私は、お礼なんていらないのに。それに、将!ちょっと、何で、こんなにくっつくの?車の中だし、やだ、恥ずかしい!……ひゃあ!?」




私が、押し返しているのに、将は益々密着してきて、私が、抗議の声をあげると有無を言わせず、抱き上げて私を膝の上に乗せた。


私達を見て、木村さんがゲラゲラ笑う。



「ホント、将はレイちゃんが大好きだよなー。レイちゃん俺の事はきにしないで!…それより、ムッシュージレの好意だけど、うちとしては凄くありがたかったんだ。フランスの事はわからないし、コーディネーターに頼もうって思ったんだけど、なかなかいい感じの人が見つからなくてね。で、ムッシュージレから連絡もらって、色々手配を頼んで。こっちのコーディネーターも紹介してくれるって。せっかくだから、好意に甘えようってことになってね。本当に助かったんだ。」



木村さんが状況を説明してくれた。

事務所側も素直にムッシュージレの好意に感謝しているようだ。

まあ、助かったのなら、私がごちゃごちゃ言うこともないか。



「そうですか。将が助かったのなら、よかったです。」



そう言うと、将が私に嬉しそうに頬擦りをした。



< 50 / 113 >

この作品をシェア

pagetop