MOONLIGHT【番外編~ウエディング、新婚旅行!?編】
着いたその夜に、レセプションパーティーが開かれ、ノミネート作品とその関係者が壇上で紹介された。
将はグレーの光沢のあるスーツで。
私は黒いタイトなビーズがちりばめられたドレスを着た。
ベリー・B のフランスのスタッフが総動員でヘアメイクからスタイリストまで用意してくれていて、仕上げてくれた。
写真だけとはいえ、世界的に有名なベリー・Bの新作のモデルをしているからか、かなり私自身も視線を集めた。
「レイ…滅茶苦茶綺麗。もう俺、自分のことどうでもよくて…それよりレイを見ただけでテンションあがりまくり何だけど。どうしてくれる?」
そ、そんなこと言ったって・・・。
将の言葉に慌てていると、いきなり名前を呼ばれた。
振り向くと。
「ムッシュージレ!!」
今回いろいろとりはからってくれたオッサンだ。
将と木村さんがお礼と挨拶をしたり、私が奥さんの様子を聞いたりとわきあいあいなパーティーの始まりだった。
そんな時、取材を申し込まれた。
木村さんに確認しようとおもったが。
それより先にジレが私の耳元で、フランスで一番購買数の高い新聞社だから受けるべきだ、但し映画祭の事があるからメインは将でと条件をつけろ、と忠告してくれた。
ありがたい忠告だった。
確かにこの新聞社は有名だ。
早速木村さんに伝えると、勿論OKで。
その場で受ける事になった。
ジレの作品も今回グランプリにノミネートされているようで、取材を申し込まれていて、先に取材に応じていた。
待っている間、将は少し緊張しているようだったので、手を繋いでみた。
公の場で、私が自分から手をのばすことは珍しく、将は驚いた顔をしたが、直ぐに蕩けそうな顔になった。
そして、耳元で。
「あー、レイ、可愛いことして!もう、好き。もう、キスしたい!」
なんて、突然テンションが上がって状況も考えないでバカなことを言うから、私はハンドバッグを焦っておとしてしまった。
そして。
クスクス笑いながら、バッグを拾ってくれる将にもう緊張は見えず、いつもの余裕の表情になっていた。
ま、結果オーライだけども…。
将の取材には、ジレも付き合ってくれた。
取材側が不思議そうにどういう繋がりかと聞いてきた。
そりゃそうだ、フランスの映画監督の巨匠とフランスでは無名の日本俳優だ。
ジレがことの経緯を上手く話してくれた。
将の舞台の素晴らしさも。
私が将と、木村さんにそれを訳した。
将が、嬉しそうな顔をした。
ジレの話のせいか、取材は凄く好意的だった。
写真も、将と私のツーショットで撮られた。
今回、この映画祭には急だったこともあり、将の作品には将と映画監督の代理人しか出席しない。
しかもその代理人もスケジュールの都合で明後日の夜の受賞発表しか出席しない。
だから、宣伝は将にかかっている。
明日から明後日の夕方までノミネート作品を3ヶ所で上映し300人の審査員がそれを見るか見ないかは自由で、採点をつける。
だから、宣伝が必要だ。
そのあと、何社か取材がきて、写真を撮られたり、インタビューをされた。