甘い恋飯は残業後に


「私も何かお手伝い出来ればいいんですけど……」

水上ちゃんは伏し目がちにそう言って、本当に申し訳なさそうにしている。

「ありがとう。その気持ちだけで嬉しいよ」

水上ちゃんが口先だけの人間じゃないことぐらい、これまでの付き合いでよくわかっている。わたしは彼女に向かって微笑んでみせた。


「その格好、これから予定あるんでしょ?」

白いワンピースに小さめモチーフのネックレス。大人可愛い装いが、水上ちゃんによく似合っている。デートなのか、いつもと比べると随分と気合が入っているようだ。


「実は……合コンなんです、この後。幹事の子が頑張ってくれて、相手はお医者さんなんですよ」

「へえ、お医者さんかぁ。それは凄いね」

「はい」

はにかんだ顔が可愛い。

頑張らなくとも水上ちゃんならすぐに彼氏出来るよ、と言いたいところをぐっと堪えて、わたしは彼女を笑顔で送り出した。


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