甘い恋飯は残業後に


確かにこれまで、傍から見れば得だと思われることはあった。

小学生の頃
「お嬢ちゃんはかわいいから、これもう一つおまけね。みんなには内緒だよ」
と、同級生達と一緒に行った飲食店で、子供だけにサービスされる飴玉を店主がこっそり多くくれたり、男の子達からは常にちやほやされた。


大人になってからも、お店でおまけしてもらえたり、男性にちやほやされたりすることはままある。

だけど、それは本当に得なことなんだろうか。



男の子達にちやほやされればされる程、女の子達からは嫉妬心を剥き出しにされ、悪質な嫌がらせをされたことだって何度かある。

そんな理不尽な状況に苦しみ、それからわたしは常に周りの女性達に気を遣い、なるべく敵を作らないよう努力してきた。


恋愛だってそうだ。

外見だけで判断されることがほとんどで、ありのままのわたしを想ってくれたのは過去に一人しかいなかった。

そしてその一人にも、付き合って半年が経った一年前、あることが原因でフラれてしまった……。



何が得で、何が損なのか。

何が幸せで、何が不幸せなのか。


そんなのは絶対、外見で決めるものじゃない。


少なくともわたしは、この容姿に生まれて良かったと思ったことは、一度も無い。



< 2 / 305 >

この作品をシェア

pagetop