2ばんめの王子様



なんだよ、可愛いな。


……じゃなくてっ。


「とにかくっ!」


俺は楓の視線をこちらに戻させようと大きな声で言う。


「まだ俺のことなんとも思ってないのは分かってる。だから返事はいらない」



ふと気づけば再び屋上に入った時よりも雲はなくなっていて、薄い灰色より青が勝っていた。


見え隠れする太陽が、俺の背中を押してくれるようだった。


まっすぐ楓を見つめる。


そしてはっきりと言った。





「だけどいつか、必ず楓の1番になってみせる」






< 54 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop