〜双子の憂鬱〜

「?どうしたんですか?
名前、どうやって呼びます?
大河内さんは既にあたしの事を名前で呼んでるからいいとして、あたしは大河内さんを何て呼んだらいいんですかねぇ?」


途中、コーヒーを入れている手元を見ながら話していたので、まさか言い終わって目線を上げたら目の前に大河内が立っているとは思わず。


「‼︎」


ビックリして危うくポットを落としそうになった。


「名前で呼んでくれるのか?」


そう語る大河内の目は真剣だ。
揺るがない漆黒の双眸。

30cmも頭上から由有を見下ろす、その瞳。


「え・・・だ、だって、婚約者のフリするんですよね?
だったら名前で呼ぶくらい親密な感じのが良くないですか?」



またまた暴れ出す胸の奥。


なんで。


そんな風にあたしを見るの?


それとも、皆にも同じ様に・・・?


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