〜双子の憂鬱〜


着いた先は、この辺りでは有名で雑誌にも何度も取り上げられたことのあるイタリアンレストラン。


予約、かなり先までいっぱいだって噂なのに・・・。


「ここの店、友達がやってるんだ。
無理言って何時もなら休憩の時間に予約させてもらった。」


「へ⁉︎」


そんな無理しなくたって!
言葉にならずに、由有の口だけがアワアワと動く。

それを見た大河内がなんとも言えない表情で話し始める。


「俺には、あんたに何をしてやればいいかなんてわからない。こういうのは苦手だ。気が利いた言葉すらかけてやれない。だから・・・」


車のドアを閉め、どこを見ているのかわからない表情で呟くように更に言葉を口にする。


「嫌だと思うならそう、口にしてくれ。
すまん、気の利かない男で・・・」


仕事中の彼とは真逆の、自信無さげなその姿に。

由有の胸がキュンと音を立てた。


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