叙情
2DKのこの小さなアパートに
産まれた時から、ずっと
2人で暮らしてた。


たまにケンカした時も
2部屋しかない、この家では
自然とケンカした事も忘れて
仲直りしたりした。


けれど・・・・


その空間に、1人増える日が来た。


それが、今日・・・・


私が、テレビを観る部屋に足を踏み入れた瞬間だった。


部屋に入った瞬間
目が合ったのは

テレビ画面でもなく
水槽の金魚でもなく
お母さんでもなく



まだ若い初めて見るスーツ姿の男性。




「真弓、座って」


お母さんの、その声と表情で

私は、認めたくない事実を突きつけられたような気分になっている。


男性の横に座る母の姿は

今まで見た事がない母だ・・・


そう、女になっている母親の姿。


頭では分かっている。


私にとっては母親でも

母にとっては、まだ35の女なのだ。


けれど・・・・


私にとっては母であり・・・


母の女である姿に
嫌悪感すら感じてしまう私は

きっと、最低の娘である事だろう。
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