LOVEPAIN③
シャンパンコール

あの後、暫くここで待っていろと、

成瀬の仕事の都合で会議室に一人、2時間程待たされた


悩んでいたからか、
特に何もしなくてもその時間はすぐに過ぎた




そして今、成瀬と二人、ナツキの働くホストクラブへと向かっている



場所が場所で、成瀬はお酒を飲むつもりだからか、

成瀬の愛車ではなく、
事務所の有るビルを出て直ぐに拾ったタクシーで向かう




「――お客として行くんですよね?」


タクシーの中、隣に居る成瀬にそう話し掛けてみる



事務所を二人で出る時、とりあえずそいつの店に行くぞ、と言われたが、

私はよく分からないまま成瀬に従っている


訊かれて、そのホストクラブの場所も、教えた



それにしても、もうすぐナツキと対面するのだと思うと、
緊張してしまう




「そう。
普通に呼び出しても、そいつは来ないんだろ?」



「多分……」



このままナツキと別れるのは、
気持ちの整理がつかない


かと言って、会った所で何を話していいのかも分からない



特に、文句を言いたい事もない



お互い、本気じゃないのは分かりあっていたから、
遊ばれていた事や突然のこの別れに対して、

文句を言うのは筋違いのような気もしてしまう



それに、私がナツキの触れて欲しくない部分に、踏み込んでしまったから……



避けられてしまっただけ





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