宵待人
宵待人


その日は、茹だるぐらいの炎天下だった。


男は黒地に白い線の入った甚平を膝のところまで捲り、そして縁側から景色を眺めていた。


「……」


遠くに子ども達の姿を捕らえた男は暫く愉しそうにその様子を観察していたが、やがて興味を失ったようにまた虚空を見詰める。


「先生、あまりお外にいるとお体に悪いですよ」


不意に、男のものではないやや高い声が響き男は背後を見る。


「お薬をお持ち致しました。……何を見ていらっしゃったんですか? 」


突然現れた男よりも遥かに幼い、まだ年端も行かない少年は外で遊びに興じる子ども達を見詰め、次いでただ寡黙にそれを眺める男に視線を移した。


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