初恋スクランブル





「彩夏はキチンと最後まで告白しろよ。」

「え?」

「もう、邪魔なんてしねぇから・・・。」




静かに俺が言うと、彩夏は俺の体を叩いた。




「何、言ってるのよ。」

「は?」

「恋って言うのはね・・・色々な障害物があってこそ成り立つものよ。今更、時雨が手を引くなんて許さないわ。」




真剣な目をして言う彩夏に俺はドキッとした。


普通の人間なら、障害が無くなったほうがいいのにこいつはわざと自分に困難な道を行く。

そうだ、こいつはこういう奴だ。


こんな奴だから俺は好きになったんだ・・・。


また改めて、俺は彩夏の好きな一面を見つけた。

まだ、俺は彩夏を好きだ。



新しい一面を見て胸が高鳴るくらいに好きだ。


いつか彩夏に好きな奴が出来てそいつがまともな奴なら俺は認めて諦めよう。


それまでは・・・・・・好きでいてもいいよな。




「あぁ、散々邪魔をしてやる。」




ニヤッと笑って俺は彩夏を挑発した。





初めて恋をした。


好きって、苦しいけど楽しい・・・そう思った。





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