月の女神
僕は家族と今日の報告をしながら食事をとることが当たり前だった。


彼女は一人で食べることが当たり前だった。

そんな些細な違い。

ぽつりぽつりと今日していたことを教えてくれるるな。


そのうち、こうして食事をとることが彼女の中でも当たり前の行為になってくれると嬉しいなと思った。


そうして、さりげなく僕が学校に行っている間に何をしているのか聞くと。


彼女は「大切な人」に会いに行っていると言う。



僕が猫だという設定を彼女に与えてしまった為に

それを考慮してあえて誰にとは言わないけれど、それがお母さんだということはすぐに分かった。


だけど、それ以外にも会いに行っているという。


それが誰なのかはわからないし、毎日会いに行っているわけではないらしい。


だけど、２人に会いに行ってきたという日はとても嬉しそうな顔をしているから。


聞かなくてもなんとなく今日はお母さんだけじゃなかったんだなって分かるようにはなってきた。






「―――失礼します…」


控えめな大きさで声をかけて、ドアに手をかける。

返事がないけれど、入れば横たわっているるなのお母さん。

話している姿も、動いている姿も僕は見たことが無いけれど…。

寝顔はるなの寝顔とそっくりで、やっぱ親子なんだなぁって思う。

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表紙・目次

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