不器用なあいつ。
「俺さ、感情を出すのが苦手なんだ」
そう言った大ちゃんの横顔は、凛としていて、どこか冷たくて、でも寂しそうで。
ほっておいたら、どこかにいなくなっちゃうような気がして。
だから私は、もっと強く大ちゃんの手を握った。
「俺がさ、本音を出したりしたらさ、大切な人が離れて行くから。
だから最初から、距離を置けば良いって、そう思った」
私が強く握ったことに気付いた大ちゃんはもっと強く握り返す。