真っ暗な世界で
騒動が収まり、近藤さんは少年を浪士組に入れたいと言い出した。


俺は勿論、反対だった。


「駄目だ!あんなどこの馬の骨かわからないやつを入れることはできねぇ!それにまだ子供じゃねぇかよ!」


「しかし、トシ!見たろう?頭三つ分大きい浪士を倒したのだぞ!!」


近藤さんは餓鬼のように目を輝かせて俺の言い分を聞きやしない。


そして、俺が少し目を離したうちに少年に話し掛けていた。


……はぁ!?何やってんだ、近藤さんは!!


もしかしたら、長州の奴等かも知れねぇってのに!!


褒め称える近藤さんにいかにも無邪気そうに照れる餓鬼。


しかし、餓鬼は近藤さんや俺の目を全く見ない。近い位置には視線があるのだが、目が合わない。


…こいつ…。何かかくしていることがあるんじゃ……??


長州の間者なら、連れていっても捕縛すればいい。


そう思った俺は、入ると頷いた餓鬼を連れて、屯所へと向かった。



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