恋心コロコロ2~天使さまのいうとおり~

2.オレンジの羽根

「セイ!」

「ん?」

「私は良かったって思ってるよ。」

「はあ?」

「私以外の大切に思える人がセイにできたこと」

「私以外とか、図々しいなお前」

「あはは、そっかな、でも、ちょっと心配だったから、

私にとって、セイは大事な人なんだよ。

だけど、兼ちゃんとは違うの。

セイのきもちわかってても、答えられない。」

判ってきても改めて言われると、

きりりと胸が痛む。

「今さらだろ?」

俺が笑うと、

ちょっと安心したように笑った。

低い鼻、小じんまりした目。

とても美人とはいえないコイツが、

何でこんなに気になるんだろう。

日本のことわざで、なんて言ってっけ?

『蓼食う虫も好き好き』


こいつが笑顔なら俺は何も望まない。


そう思えるようになるまできつかったけどな。



空を見上げると、雲ひとつない青空。

変な縁で結ばれた俺とコイツと、それからアイツと妹。

俺が留学を一年延長してまで欲しかったものは、

決して手に入らなかったけど、

それでも、

日本の普通の高校生として過ごしたこの2年は俺の人生で宝物だ。


もうすぐ帰るハワイの空とは違う薄い青空も、

そろそろ見られなくなるんだなと持ったら、少しだけ、淋しい気分になった。


俺の容姿を見て天使なんて言うやつがいるけど、

いっそ背中に羽があったなら、いつでもここに舞い戻ってこられるのに。

「ははっ」

あり得ない妄想をしている自分に苦笑いした。

そらこの病気が移ったのかな。





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