恋心コロコロ2~天使さまのいうとおり~
「これで大体運び終えたか」

ほとんどの畳を運んでくれた先輩は、

暑くなったのか、ネクタイを緩めて、額をぬぐった。

その一連の動作の色っぽいこと。


「んむ~っ
いひゃいいひゃうー」


ほっぺたぎゅむっとつままれて、
奇声を上げてしまうけど、

夢にしては何てリアルなんだろう!

「そらこお前、大丈夫か?」

「あやっはっひゃーい。
へんぱい、らいひょうぶれすから。
顔っ近いれすから。」

「心配するな、ブスも3日でなれるって言うだろ。今さら気にすんな。」


先輩の毒舌が妙に嬉しくて、
うっとりした。

私って変態過ぎ。

先輩は私のおでこをツンツンしながら、
言いにくそうに、

「あのさ、俺、

帰るんだよ。」

呟いた。

「うわっ、ハ、ハイ、そうですよね。

すみません!

先輩が手伝ってくれるのをいいことに、

私ってば、甘え過ぎですよね。

ありがとうございました。

もう一人で大丈夫ですので、

お帰りください。」


先輩は、フッと笑うと、

スッと私のおでこから手を離すと、


「そうきたか、

ま、いいわ。

ありがとな、そらこ、

あんたのおかげで

最後にいい思い出できそうだわ」



「いいえ、いいえ、こちらこそ、こそで、

大変お世話になりまわわ……してですっ!」


かみかみで、変な日本語になってしまった私に、

「ははっお前って、サイコー」

と、素敵な笑顔で言い残して、
 
走り去ってしまった。
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