むげんはなび

背中、努力、特等席









高校二年生になって最初のテストの後。

そろそろ出席番号順の座席じゃなくなっても、クラスメートの名前を覚えているだろうと席替えがあった。



珍しく少し気合いを入れてくじを引いた結果、新しい俺の席は窓際の一番後ろ。

特等席。



窓からはグラウンドが見えて、授業中に起きている時の暇つぶしには最適だ。



そして、みんなに羨まれるその席には更なるおまけがついていた。



ひとつ前の席には俺はまだ興味のなかった、だけど周りから人気のある────夏目がいた。



彼女のにこやかな挨拶に俺は「面倒なことはしない主義だからいつも寝てるけどな」と返した。

そんな適当な返事にもクスクスと笑ってくれる人のよさ。



初めてまともに絡んだけど、おー、確かに可愛いな……なんて変に納得したり。



明るく「毎日ノート貸してくれよなー」と言うと、勢いに乗せられてにっこり「うん!」と返してきたこともあり、第一印象は弄りがいがある、だった。






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