LOVEPAIN④
「着いたぞ」
そう声を掛けられて目を開けて窓の外を見ると、
もうマンションの前
私はあくびをしながら、シートベルトを外した
「そうそう。
これお前のデビュー作」
成瀬から手渡されたのは、
私のアダルトDVD
車内が暗いから気を使ってくれたのか、
パチッ、と電気をつけてくれた
そのDVDのパッケージには、
私の名前の鈴木広子の文字が刻まれ、
そして、白いシャツ姿の私が写っている
その私はとても幸せそうな表情をしていて、
この写真を撮って貰った時の事を思い出した
馬鹿みたいに、
成瀬との幸せな未来を思い描いて笑っていて――
今思うと、そう言うのが妄想ってやつなのか、と思った