恋のおわり。
飛び立った飛行機をガラス越しに見ていた。


さっきまではゆっくり進んでほしいと思ってた時間。今は早く進んでほしいと思う。人間って勝手だ。


手すりにのせた左手を見る。


旅立つ前に岡島君がくれたペアリング。


薬指に付けてくれた。


「奈緒さん。俺にも付けてくれる?」


「…うん」


左手を出してきた岡島君の薬指にそっと指輪を付ける。右手で私の左手を包んだ。


「奈緒さん。
俺を信じて待ってて下さい。
奈緒さんを迎えに行くから」


「…はい」


「奈緒さん、街中で無防備に立ってないでよ。声かけられてもキッパリ断るんだよ」


「陵太朗君も可愛い子に言い寄られてもキッパリ断ってよ」


顔を見合せ笑い出す。


搭乗時間が迫り岡島君が立ち上がった。


「行ってきます。奈緒さん」


「いってらっしゃい。陵太朗君」


チュッとキスしてにっこり笑って
岡島君は行ってしまった。


何度も振り返り私に手を振ってくれた。


…いってらっしゃい。陵太朗君。


…おかえりなさい。って早く言いたい…。


見えなくなるまで見ていた。
キュッと締め付けられる心をなだめるように無理矢理に笑顔を作る。


岡島君が仕事を頑張って成長してる間、私も強くならなきゃ。


岡島君と一緒に人生を歩いて行けるように。
離れてる時間が無駄にならないように。









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