あたしこそが最愛最高の姫である
生徒会Ⅴ
蓮side*
「はっ?」
美玲は低くため息とともに言葉を吐き出した。
美玲が、いきなりキレた。
……何が不満だったのだろーか。
ただならぬ空気が漂い始めた生徒会。
原因はやはり美玲だ。
暇すぎるあまり勉強を始めたらしいが、いきなり極寒の笑みを浮かべだした。
そして次の瞬間にはバシッと分厚い参考書を壁に向かって投げつける。
ギャーギャー騒いでた紫苑と悠斗もすれすれに分厚い本が飛んできたため固まり、直は参考書を拾う為に腰を上げた。
俺は、美玲の相手。
「……美玲、どうした?」
「その古文の参考書、さっさと捨ててくれる?」
…………どこにキレる場面があったのだろうか。
しかもその参考書は、直のだ。
そして危うく二人に激突するところだった。
「何があったんだよ」
「あれ、何?あたしに喧嘩売ってんの?」
だから、何が。
「誰かの随筆であたしみたいな性格を全否定してたんだけど」
………あぁ、今日は運悪く美玲の機嫌が悪かったみてぇだ。
視界の隅に、ため息をつきながら参考書を拾い上げている直が映った。
「別にんなこと無視しとけばいいだろ?俺は美玲が美玲な性格じゃなかったらびっくりだわ」
そう言って隣にいる美玲の肩を抱こうとすると……。
ペしっと手を叩かれた。
「………は?」
思わず低い声が出る。
「蓮、あたし喉乾いたからミルクティー買って来て!」
……おーお。
さすが女王様。話が突拍子すぎる。
………本当、俺どんだけ振り回されてんだよ。
ったく、なんて思いながらも重い腰を上げた。
ここで逆らったらさらに美玲の機嫌が悪くなる。
こんな機嫌の悪い美玲を相手に出来るやつは誰もいない。
実の兄の玲さんですら、苦戦しまくっている。