ビターな彼氏の甘い誘惑

私の髪にはさみを入れようと
したとき、
店のスタッフから、
羽菜ちゃんが声をかけられた。

「利理。ちょっと待ってて」


私は、うなずいてから
視線を鏡に戻した。

鏡越しに、部長と目が合う。

呉羽部長は、
鏡越しに私を見て、
また、楽しそうにフッと笑った。


「・・・何か・・・おかしいんですか?」

「いや、微笑んだだけ。
 目があったから。」


会社でも、それぐらい笑ってたらいいのにねぇ?

笑ってるだけで魅力3倍ですよ。


ま、口に出しては言わないけどねぇ。


「利理の髪って、
 柔らかくてきれいだよな。
 光にあたるとホント栗色って感じ。」

「あぁ。 
 実は、ばぁちゃんが英国人なんです。」

実はそうなの。

と言っても、
じぃちゃんとばぁちゃんは離婚してるから、
ばぁちゃんは、何年かに一度会うだけ。


「へぇ。」

そんなのどうでもよさそうに
呉羽部長は
私の濡れた髪を撫でた。


うーん。
部長って、髪フェチ??


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