シナリオ「はりぼて代表取締役」

奥の手

   静子もじっと聞いている。

松平「さらに押し迫って借金取りが押し掛けてきよっても
 心配するな。夜逃げせんでも首くくらんでも奥の手が
 あるんやから・・・・・学校やめてしもたら、
 もともこもないやないか、そやろ?」

   金吾、泣きながらうなづく。
松平「元気出せよ、将来の跡取り社長やから。よろしく
 たのんまっせ!もうすぐそうなる」

   松平、金吾の肩をたたき立ち上がると電話をかけ始める。
   静子、金吾の背を押し部屋へやる。

松平「(電話)まいど、長いこと出張ですんませんな。ちょっと
 入金が遅れとったんで今からとりあえず1か月分振り込んどきますわ」

   松平、電話を切るとまたすぐかける。
松平「(電話)まいど、すんませんなおそなって・・・」

金吾のN「これから続く修羅場の本番にはとても耐えられそうにない。
 学校をやめて働いたほうが気が楽かも?それでもよく考えると、
 家族全員が昼夜必死で働いても3年ではとても返せそうもない。
 それもしんどいなあ。大学生活を満喫することが僕の勝利やと親父
 は言うけど・・・・。そしてとうとう12月大変なことが起きた」
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