苦し
く、苦しい。

もう何メートル無言のまま歩いただろうか。

お互い目を合わせながら真っ直ぐ前を見て歩いている。

なんなんだ僕は。今日だけ夕日が気まぐれでブラジルから僕らを照らしている。そして普段彼女の後ろで寝ている影が今回だけ立体化して横にいる。それが僕だ。

全然うまくないよ!なんなんだよ今の例えは!無理やりすぎだろ。意味わかんないよ!

この思考の間の時間を返せ!

「二回目だね」

突然西が僕に不意打ちを食らわせた。二回目?


「二回目?」
あぁもう言葉か頭の中かわからない。

「うん。前もなぜかこの道二人で通ったじゃん。覚えてる?」

あ。気がつけばここは横に川が流れる小道。そう初めての僕らの二人っきりの場所だ。

「でも二人で通ったって言ってもすれ違っただけだけどね」

そうだ。なんであの時家に帰ったのか聞いてみようか。


いや待て!確か次の日だったはずだ。彼女のお父さんが亡くなったってのを聞いたのは。この話題は危険すぎる。

でも西って意外と今は落ち着いてるのかな?さっきは顔は真っ赤だったけど今は白だ


なんか僕は気持ち悪くなってきた。僕自身も気持ち悪い。
「ねぇ!ここで私が滑ってさぁ・・・」

「も」

「も?」

「も、目的!・・・目的達成していいですか?」
僕はこうして切り出したのだった。
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