俺様なアイツのしつけ方。


「じゃあ今日はここまでにしよか」


学級委員の言葉で、クラスがざわつき片付けが始まる。

琴羽も片付けに取りかかりながら、きょろきょろと辺りを見渡していた。

比奈が気付いて同じように辺りを見渡す。


「小宮君いないねぇ、琴ちゃん」

「はっ!? 私別にアイツのことなんか探してないけど…っ」

「何言ってんのよぅ。比奈の目は誤魔化せませんよ-」


にやっと笑って比奈が、琴羽の額をつついた。

優が2人の会話を聞いて、蓮の机に目をやる。


「ねぇ琴羽、もう小宮の机に鞄無いけど…」

「はぁ!?」


優の言葉に、琴羽が蓮の机に駆け寄る。

確かにさっきまであった鞄が無くなっている。

既に帰ってしまったようだ。


「あいつ〜…!!」


ちゃんと参加させていたのに、いつの間にか逃げられた。

確かに荷物を取りに行ってから蓮の姿を見ていない。


「許さないんだから…っ」


全く目を離すとすぐこうだ。

最近しっかり学校へも来ているし、女子にアドバイスもしたしで、完璧油断していた。

それにしても、いつ帰ったのだろう。

鞄を取りに来たのが琴羽が戻ってくる前なら確かに気付かないが、もし荷物を取りに行った後…この教室で作業をしている時なら気付かないわけがない。

いったいいつ取りにきたのだろう。


「何も言わずに帰るなんて許せない」


なんだか寂しい。

胸がきゅう…と締め付けられるような感覚に襲われた。






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