シンデレラは何ルート?《王子or魔法使い》
「それは一体どういうことですの?」
いつの間にか自分の世界に入り込んでいた私は、その一声で現実に引き戻された。
低く冷たい言葉はクリフ王子の母でもある、王妃様から発せられたものだった。
王子と顔は似ていないないけれど、女の私が見ても惚れ惚れしてしまうほどの麗しい美貌。品格。佇まい。
舞踏会に綺麗な人は沢山いたけれど、その人達が比にならないくらい。
その美しい王妃様がすぐ近くに居て、私を見ている。
…というか睨まれてるような。恐いよ。
「母上。急な話で申し訳ございません。
ですが、僕はこの方と結婚したい。
どうかお許しいただけませんか?」
王子は王妃様を真っ直ぐと見つめて、力強く言った。
王妃様はほんの少し王子に目を向けたが、すぐに視線を私に戻した。
(なんで私こんなに見られてるの…)
内心凄く不審に思っていると
「あなた、お名前は?」
「…へっ?」
それが自分に向けられた言葉だと気付いたのは数秒後。
相変わらず色気のない声が出るわけで。
それが更に王妃様を不愉快にさせているのは、手に取るようにわかった。
「…あなたのお名前は、とお聞きしているのです。」
笑顔だけど目が笑ってない。
恐い。とっても恐い。
(どうしてこんなことに…)
そう思いながらも、
なんとか口を開こうとした時だった。