愛してもいいですか



な、なんであんなに顔赤くしたりして……いつも自分から触れたり頬にキスしたり、散々軽いことしてくるくせに!

不意打ちに照れられたりしたら、こっちまで余計恥ずかしくなる。ドキドキ、する。

一言『ありがとう』を伝えただけなのに。



バクバクとする心臓を抑えホールからトイレへ続く廊下を歩いて行く。

とりあえず気持ちが落ち着くまでトイレで……。



「あれ、宝井さん?」



そう歩いていると、かけられた声。振り向くとそこにいたのは、スーツ姿の彼……松嶋さんだった。

まさか行き会うとは、という驚きで心臓がドッと跳ねる。



「松嶋さん!」

「あ、本当に宝井さんだ。いつもと全然雰囲気違うからびっくりしました」



慌てて髪を整える私に、松嶋さんも驚いたように笑う。



「松嶋さんも参加してたんですか」

「はい、俺は会場の手伝いで。そういえば宝井さんの会社も招待リストにありましたもんね」

「えぇ、お招きいただきありがとうございます」



お互い軽く頭を下げとりあえずの会社同士のやりとりをすると、その視線はまじまじとこちらを見る。


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