愛してもいいですか



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「えぇ!?秘書を辞める!?」



ある日突然私の元へ飛び込んできた、大きなニュース。それはこれまで務めていた秘書の神永が辞めるという話だった。



「どっ、どうして!?そんなに私の秘書が嫌だった!?」

「いえ、そういう訳ではなくて……私が辞めるのは“架代社長の秘書”であって、秘書という職業自体を退職するわけではありません」



黒いオールバックの髪型に真っ白なシャツ、柄のないネクタイ、とその真面目な性格を表すような見た目。細い銀縁眼鏡をかけた男性・神永は三十四歳という年相応の落ち着きで、驚く私に冷静に話す。



「っていうのは、つまり?」

「架代社長のお父様、宝井英三社長の秘書になるというわけです」

「お父さんの……?」



私の父・宝井英三は宝井建設という大手建設会社の社長を務めている。宝井建設はこの会社の親会社であり、それ故に一人娘である私がここの社長を務めている。文字通り“子会社”というわけだ。



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