愛してもいいですか



「こういうのはまず挑むことに意味があるんですよ」

「挑むこと?」

「えぇ。挑んで、認められれば自分の力を知る。ダメでも自分に足りないものを知る。どちらにせよ、得られないものなんてないんです」

「そう、かもしれないけど……」



ね、と言い聞かせるように言うと、日向は下のフロアへ用事があるらしく部屋を後にした。



……そうかもしれないけど、なんだか不服。日向に言われると納得出来ない。

チャラチャラしながら時々いいことを言ったりするものだから、なんだか悔しい。ていうか、いちいち触りすぎなのよ。あのチャラ男。



先程その指先が触れた唇を、自らの人差し指でそっと撫でた。




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