愛してもいいですか



「……ん、」



ぱち、と目を覚ますと目の前にあるのは、日向の顔。

まじまじとこちらを見つめるその丸い瞳に、寝起きの頭は一瞬ではっきりとしガバッと顔を遠ざけた。



「な、なに……なによ……」

「いやぁ、可愛い寝顔だと思って」



にこっと言われるその一言から、ふと気付く。昼食を食べた後、社長室のデスクに伏せつい眠ってしまったこと。そしてそんな私の寝顔を、日向はずっと見つめていたこと。



「っ〜……この変態!!」

「ギャン!」



込み上げる恥ずかしさをぶつけるように、その栗色の頭を手元の書類でスパーン!と叩いた。



な、なんなのよバカ……!

バクバクと鳴る心臓と、赤らむ頬。いきなりあんな近くに顔があれば、さすがに私もドキドキする。

いつもいつも、距離が近いのよ!チャラ男!向こうにとっては何てことないんだろうけど……。



もう、と気持ちを落ち着け椅子に座り直した私に、日向はヴー、と震える胸ポケットの携帯を取り出した。



「はい、日向です。……あ、はい。ちょっと待ってくださいね。社長、ミサキインテリアの方がいらっしゃったそうです。お通ししても?」

「えぇ、どうぞ」



それは予定通り、この時刻から会う約束をしていた取引先のインテリア会社の人が来たという連絡だったらしく、私は日向の問いに頷くと髪やスカートなど身なりを整える。


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