素敵な勘違い 〜負け組同士のラブバトル〜
私は今、阿部和馬の部屋のバスルームでシャワーを浴びている。彼は先にシャワーを浴び、私が戻るのを待っているはずだ。


まさかこんな展開になるとは思ってもみなかった。昨日までは、顔を見るのも嫌なほど嫌いだった阿部和馬と、そういう事をするなんて……

なぜこうなったんだろう。ビールで酔ったせい?

それも多少はあるかもだけど、それだけじゃないと思う。

ひとつには、もういい加減処女を捨てたかったというのがある。それは間違いない。でも、だからと言って誰でもいいなんて事はない。

本当は好きな人としたかった。でも、それだといつまで経っても処女のままだ。だから、どこかで妥協しないと……

そうよ、妥協よ。私は阿部和馬で妥協しようとしてるんだわ。


阿部和馬に関し、昨日までとはだいぶ印象が変わった。180度変わったと言ってもよいくらい。だから、彼に体を触れられても、嫌な気持ちにはならないと思う。たぶん、だけど……


私は体を念入りに洗い、バスタオルを体に巻いて阿部和馬の元へ歩いて行った。恥ずかしさと緊張で、膝をガクガクさせながら……

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