片恋キックオフ





*瑞姫*





「杏里…、わたしおかしい」




「え? なに、いきなり」





お昼休み。
わたしはお弁当を食べる手を止めて、杏里を見つめた。





「自分でもわからないくらい、おかしいの」




「なにかあったの?」




「目から離れないの。

…気がついたら視界に入れてるの」





城川くんのことを。
…そう言わなくても杏里はわかったみたいで、チラッとひとりでお弁当を食べながらスマホをいじる城川を見た。





「なんかね、キラキラしてて……。

ほら、わたしおかしいでしょ?」




「……恋、してるんじゃない?」




「………コイ…?
こ、ここ恋⁉︎」




「うん、恋。

ドキドキするでしょ?」




「わ、わかんないけど…。
たぶんドキドキします……」





でもそれはふつうのことだと思ってた。
でもやっぱりドキドキするのは城川くんだけで…。






これが、恋なの?







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