逢って、愛して
しかし、私にそれを止める権利は無かった。
顔も見たことない、声を聞いたこともない人物なのだ、止める権利も義務も義理も無いのは当然だろう。

[…私に止める権利はありません…仕方ないです、ね]

とん、とディスプレイをタップしてツイートを送信する。
見ていたディスプレイの画面がグラリと歪んだ。
「!?」
咄嗟に目を擦る。
擦ると歪みは無くなったが、代わりに目には内側からの熱さと、外側からの涼しさが残った。
鼻がつん、として喉も辛い。
何故。
「…えっ」
泣いてんの、私。なんで。
頭にクエスチョンマークが飛び交う。

[悪い、1つ謝りたいことがある]

「…は?」
そのリプライを見た瞬間、画面上のメールマークに「1」と付いた。
そのマークをタップする。
すると先程まで話していたなりきりさんからDMがあった。

[その、わりぃ]
[え、あ、はい]

何とも歯切れの悪い返信だが、そうとしか返しようが無かった。

[実はさ、文化祭の準備、後輩達がいつの間にか集まって勧めてくれてたんだ]
[…ほう]

つまり?
それは、どうゆうことだ?

[…その、な。つまり]
[は、はい]

[今すぐやめなくてもいい事になった!]

ふ ざ け ん な ?

[私泣いたんですけど!?]
[な、泣いたのか!?悪ぃ!]

ボロリ、とまたも涙が流れる。
安心からだろうか、いやでも泣かされた感があって悔しい。

[あーもう泣いちゃったのに何か損した気分だわ]


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