Candy House
「バカ!

抜け駆けは禁止だ!」

安部さんがあたしから上野さんを引き離そうとした

ギャーギャーと騒ぎ始めた2人に、
「もう、乾杯するわよ!」

さくらさんが大きな声で止めた。

さすが、さくらさん。

2人の騒ぎを鶴の一声で止めてしまった。

「また椅子をぶっ壊されたらたまったもんじゃない」

毒づくように言ったさくらさんに、上野さんは申し訳ないと言う顔をした。

前科がある以上、仕方ないよね。

あたしたちがグラスを持ったことを確認すると、
「それでは…ノゾミちゃんの大学卒業とこれからの社会人生活を祝して、カンパーイ!」

さくらさんが乾杯の音頭をとった。

「カンパーイ!」

あたしたちの声が店内に響き渡った。
< 120 / 370 >

この作品をシェア

pagetop