Candy House
「俺は上野祐介(ウエノユウスケ)。

安部くんとは専門学校時代の同級生なんだ」

しゃがれた声――上野さんが答えた。

「名前も覚えたことだし、家ン中の案内も兼ねていろいろと話をしようか」

安部さんがそう言ったので、
「はい」

あたしは首を縦に振ってうなずいた。

フローリングの廊下を進んで行くと、
「ここが洗面所ね」

安部さんがアコーディオンカーテンを開けた。

開けたとたん、鏡のついた大きな洗面台が視界に入った。

「奥が風呂になってるから」

上野さんが指差した方向に視線を向けると、今度は水色のタイルが視界に入った。
< 14 / 370 >

この作品をシェア

pagetop