Candy House
「だから、何か横町で紹介したいところとか」

「あー…」

上野さんの質問の意味に、あたしは曖昧に返事をするだけだった。

横町で紹介したいところと言われてもなあ…。

いきなりそんなことを言われても出てくる訳がない。

「無理して考えなくてもいいんじゃない?

来週まで時間があるんだから」

そう言った麻子さんに、
「そうですよね」

あたしは笑いながら言った。

「それにテレビ取材なんて、一生に1度あるかないかの出来事だしな。

取材班の見学って言うのも悪くないんじゃね?」

笑いながらそう言った安部さんに、
「じゃあ、俺たちは見学組で」

上野さんが笑いながら言った。
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