手をのばす
「あ、あのね」

「やっぱりそうなんだ!なあんだじゃあ私も負けてらんない。頑張らなくちゃね」


私の声にかぶせるように沙耶が大きな声を出した。


「沢渡さんにそろそろ当たってくだけちゃおかな。ね」

「え・・・・・・」


「最近メールもいい感じだし、何度も食事と飲みに行ったし、そろそろ告ってもいい頃だと思うんだよね」


何も答えられない。


「私たちもうまくいったら、一緒にダブルデートしよ!」


何も答えられない。


どういうこと?


もう沢渡は私と付き合っているはずのに。
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