『ありがとう』と言われる日まで。
「榊原優志(サカキバラユウシ)です。よろしく」
今日は転校初日。
親の仕事の都合で引っ越し、この学校にやってきた。
今は朝のホームルームでの自己紹介。
クラス中の視線が自分に降り注いでいるのがヒシヒシと伝わってくる。
地味に緊張。
転校なんて初めてのことだ。
「榊原君の席は一番後ろね」
担任の女の先生が伝える。
一番後ろ。
空いてる席は、あそこか。
教室の中を一通り見回して見つけた。
廊下側の席。
あそこが、俺の席となる。
自己紹介も終わり、言うこともなくなった。
そこへ、行こうかとしたその時。
ある人に視線が奪われた。