永久に愛を誓う

医者として

あの事件の後3人の謀者達は沖田に罰を与えられたようだが、千花はその内容を知らされなかったし、誰も教えてくれなかった。
ただ、その後屯所内で彼らを見ることはなかった。

そして千花は帰ってきた斎藤にささやかに説教されたのだった。


一方、千花の屯所の医師としての仕事も少しずつ増えていた。
斎藤の非番の時に一緒に薬草を摘みに行ったり、山南に医学書を借りたりしながら、この時代での治療法を学んだ。
その頑張りの成果なのか、医務室には腹痛や、不眠などの症状で時々隊士がやってくるようになった。

そんな時、2人の隊士が医務室を訪れた。
何の症状か聞くも、2人とも答えづらいのかモゴモゴするばかりだ。

なにか話しにくい事なのかと千花は思い、
「大丈夫ですよ。私は医師ですので、ここにこられた方々の個人情報は他言しません。」
と伝えると、1人が話し始めた。
「あ、あのっ。俺達っ…恋仲なんですが、よっ夜の、情事の際にこいつを傷つけてしまったのか、痛みと微熱が続くようになってしまって………。」
そうか。屯所内は女子禁制。そうなってしまう事もあるんだ。
「あまり気が乗らないとは思いますが、袴を脱いで痛いところを見せてもらっていいですか?」
先ほどまで黙って俯いていた方の隊士は戸惑いながら頷き、袴を脱ぐ。
私は診察に入る。やはり肛門部が炎症をおこしている。
この時代軟膏も抗生剤も無いため、清潔に洗い、栄養をつけ、完全に治癒するまで行為をしないでもらうしかない。
千花はその通り2人に伝えた。
「大丈夫。清潔にしていれば直に治ります。」
にこりと笑って言うと、
「先生、できれば俺たちのこと誰にも言わないでもらっていいですか?」
「もちろんです。他言はいたしませんのでご安心下さい。何もなければ一週間後くらいにまた見せてくださいね。」
と伝えると、
「「ありがとうございました。」」
と医務室を出て行った。
それにしても、さすがに少し驚いた。でも彼らは考えられないほどの勇気を振り絞ってここにきたのだろう。その気持ちに答えるべくこの事は他言しないようにしようと千花は思った。
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