コンビニの彼


午後は来月からある実習の説明だった。

実習で何をするのかというと、病院で一人患者を受け持って、その患者に合わせた援助を行うというものだ。

期間は2週間。


初めての実習の時は何が何だか分からない状態で、先生や病院の看護師に怒られっぱなしで、トイレに駆け込んでは泣いていたっけ。


そんな辛い実習がまた来るのか。

自然とため息がもれる。


二度目だから、初めの実習より求められることが高度になる。


…考えただけで、お腹が痛くなるよ…。



あたしは説明中ずっとキリキリ痛むお腹をさすっていた。





* * * 



そしてまたしてもたんまり課題を出され、気落ちしながらいつもの道をノロノロと歩いて行った。


もう陽が落ちているのに、蒸し蒸しして暑い。汗が出る。



あたしがコンビニにたどり着くと既に猿の姿があった。

今度は店内の雑誌コーナーにいた。


雑誌をパラパラめくっているようだけど、その目はあからさまに外の様子を気にしている。



ていうか、あんたは毎日何をしてるわけ?

学校とかバイトとかしてるなら、こんな毎日ブラブラしてるわけないよね?


もちろん、手帳の少女を探すために毎日このコンビニに来るのは分かるけどさ。

友達に協力してもらって一緒に探してもらうとか色々方法はあるのに。


そうだよ。何で猿はあたしに協力を依頼するわけ?
するなら友達にしてほしい。

本当、いい迷惑だわ。



あたしは猿が視界の端にいることを変に意識しながら明るい店内に足を踏み入れた。



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