杉浦くんの手と私の手。
杉浦くんは首を傾げながら、パックジュースを受け取った。


その瞬間、分かりやすいくらい顔をパッと輝かせて言った。



「イチゴミルク!!!」


杉浦くんはイチゴミルクが大好き。


私は嬉しそうにしている杉浦くんを見つめる。


機嫌が直ったみたい。


杉浦くんはすくっと立ち上がると、私にさっき自分の買ったカフェオレを渡して言った。



「これはキヨにやる!キヨはカフェオレ好きだもんな!!」


「……」


私はカフェオレが好きだ。


それはとてつもなく好きだ。


でも私はそんなことを杉浦くんに言ったことはない。


杉浦くんは私が何も言わないのを見て焦ったように言った。


「あれ?違うか??いつもカフェオレ買ってるから、そうだって思ってたんだけど」


私は少し面食らった。


よく見てるな。人のこと。


私は杉浦くんを見つめて言った。


「…ありがとう」


私はまだ一ヶ月しか杉浦くんといない。


でも私はある程度、杉浦くんが理解できた気がする。
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