君に咲く花火

3

私は海に浮かんでいた。


不思議に、泳がなくてもぷかぷか浮かんでいる。

空は青く、海との境界線がわからないほど。

「空に浮かんでるみたい」

そう言うと、
「ほんとだね」
と、すぐそばで声がした。


「ソムチャイ?」

視線はそのまま空に向けて、聞く。

「実羽」

その言葉が心地いい。
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