君に咲く花火
ソムチャイはだまって私を見つめている。

「帰りたくない」

もう一度繰り返すと、ソムチャイは空に顔を向けた。

まぶしそうに瞳を閉じると、
「空はつながっている」
と、言った。

空はつながっているから、離れていても大丈夫ってこと?

なんだか急に悲しくなる。

それでも、涙はあふれない。

「空はつながっている、か」

そう言ってみると、ソムチャイはうなずいた。
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