君に咲く花火
「へぇ」

感心して声をあげながら、私はあることを思い出していた。

「げ、まずい。さっき、ソムサックに『小さいホテル』って言っちゃった」

「大丈夫よ、ほんとのことだもん」

「でも」

「大丈夫。彼はそんなことでは怒ったりしないから。本当にやさしい人なの」

そう言って笑うお姉ちゃんの顔を、私はまた、美しいと思った。

日本にいるときは、ただのおっとりした姉だと思っていたが、強さのようなものが加わっているように見える。

恋をすると、そうなるのかな・・・。

「お姉ちゃん、幸せなんだね」

「うん」

にっこり笑って私を見た。

私も笑顔でうなずいた。
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