一生に二度の初恋を『あなたへ』

・絡み合った真実



何回も通った、通学路。

見慣れた、景色。


お母さんに内緒で来た、この街。

お父さんがいる、この場所。



久しぶりに来た街の匂いが、目に入るもの全てが、懐かしく感じた。


ーー元気にしてるかな。みんな。

中学校の頃のクラスメイト。


少しぼやけたアルバムのような記憶の中で、一人一人の顔を思い出す。


色々なことを思い出したくて、肌でこの街を噛み締めるように、ゆっくりと歩いた。



「さ……とう」


横断歩道を渡ろうと信号待ちをしていると、コンビニから袋を持って出てきた女の子に名前を呼ばれた。

久しぶりに呼ばれた『佐藤』というわたしの昔の苗字。


この子は確か中学二年生の頃に同じクラスだった女の子の……。

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