一生に二度の初恋を『あなたへ』


「わたしは……」


ただ単に話すの苦手だから男子との接点がないだけ。



そう言おうと思ったけど、わたしはスプーンを小さな皿の上に置いて、言葉をまだ熱いカフェラテと一緒に飲み込んだ。


喉の辺りがじんわりと熱くなる。



よくよく考えれば話すのが苦手なんて言うけれど、勇気がないだけだもん。言わないでおこう。

それに『そんなの言い訳だよ‼︎』っていう笑ちゃんも想像できる。



こうやって相手の反応を想像して、臆病になるから、わたしって何も伝えれなくなるんだよね。

何も考えずに言葉にできる人が、羨ましいな……。



ーーわたし高梨 優(タカナシ ユウ)高校一年生は、世間で言う口下手とかコミュ障ってやつ。



初対面の人とは何を話せばいいか分からないし、喋っても話が繋がらなくて一言で終わっちゃうのが日常。


……だって興味のない話題だったら、とか。冷たく返されたらどうしよう、とか。考えちゃう。


なんて言うのは臆病者の言い訳ってことも分かってるんだけどね……。

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